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子どもと共にある医療

2023.05.14理事長

「歯科」と「医科」そして「教育」が、同じ場所で行えるメリットを考えてみましょう。

医療の中でも、小児分野は全身を総合的に診ることが必要だと考えています。

また、医療と教育は別々のものとなってはならないのです。

小児医療には教育という柱がないと成り立たちません。つまり小児医療従事者は、医療者と共に教育者であるべきなのです。

善院の主体は「小児歯科」ですが、「小児科」さらに「保育所・学童保育所」を併設して医療と(衛生)教育を総合的に支援する形態をとっています。「小児歯科」の目的は、出来るだけ早期に口腔領域の成長のじゃまをする原因を発見して、それを取り除くことです。それにより、健全な発育の方向そして量を得ることが重要と考えています。そして、修理業としての医療ではなく予防の大切さに向き合っています。

その為に大切なことが定期健診制度であり、「小児歯科」、「小児科」共に行っています。

発育による変化を時間軸にそって診て行くことが非常に重要で、これにより単発的に診るだけではわからないものが見えてきます。

むし歯だけでも子どもの最も大切な仕事である「食べる」ことに問題が生じます。よく噛めないと、食物を噛み砕き栄養を効果的に消化吸収することが出来ず、結果、成長期の発育に問題がでます。

また、表情筋を鍛え表情を豊かにしたり、あごの骨の成長と顔貌の発育や脳の活性化を促すことにも不利に働きます。これは歯並び・噛み合わせの不正も同じです。

近年、地域差はありますが、むし歯は少なくなってきています。しかし、それ以外の問題、つまり「歯並び・噛み合わせ」、「お口の悪い癖」、「食べる・話す・息をする機能」、「歯の数や形の異常」の問題は年々増えてきています。基本は健全な歯を維持していくことです。

乳歯は「子どもの歯」ですが永久歯にとっては「母歯」、つまり母なる歯です。永久歯の「母歯」である「乳歯」をまもることは、「永久歯」をまもることに繋がります。

また、歯科治療は痛いものだと思われがちです。「少々痛くても治すためには我慢をしなさい」という、野蛮で残酷な治療は過去のものとしなくてはなりません。さらに治療は見た目にも気を配ることが大切です。むし歯の放置や歯並び・噛み合わせの不正により、不必要なコンプレックスを子どもに与えることは避けなくてはなりません。